韓国出身カンさんが見た心躍る岡山の50のコト 第21話


ほたるの川

‘季節が過ぎて行く空は
秋で満ちています

私は何の心配もなく
秋の星たちをすべて数えることができそうです

胸の中に一つ、二つ、刻まれる星を
もう全部数えられないのは
ほどなく朝が訪れるからであり
明日の夜が残っているからであり
まだ私の青春が尽き果てていないからです’

ユン・ドンジュの’星を数える夜’の中   

軍隊にいた2年2ヶ月間は、
ほぼ毎晩「警戒勤務」に出なければならなかった。
武器庫や本部、衛兵所(正門)など、
大事なところは24時間銃を持った二人が順番で立っていた。
寝る前には必ず「夜間勤務表」を見て自分の勤務時間を確認しなければならない。
夜中に起きて寒い外に出るのは幸せなことではないが、
その中でも私が好きだったのは裏門の勤務だった。
夜中でもたまに人が通る衛兵所や本部と違って、
山に繋がっている裏門は、
’日直士官’がわざわざ勤務状況を確認しにこなければ
いつも静かに1時間を過ごせるところだった。
一般人は入れない北朝鮮近くの山奥、
天気が良い日には数えきれない星がお空いっぱい。
お星様が多く見える日は心の中でユン・ドンジュの詩を吟じた。

たまに蛍が一匹、二匹見える日は、
なぜか心が緩くなって、家族や友達、彼女の側に戻りたくなる。
ソンテはまだ軍隊に行ってないのかな。
演劇部は今年どんな作品を準備しているんだろう、
演出はジョンヒがするのかな。
一人一人のことを思い出していると、
いつの間にか次の当番が遠くから見えてくる。
蛍は寂しいものだった。最近までは。

北房の蛍を初めて見た時の感動は、
忘れられない。
何がそんなに良かったかというと、
数えきれない蛍が、
備中川に沿ってずっとつながっていることだ。
一匹、二匹を見るときとは
何か寂しかったものが、
ずっと繋がっていると
川の向こうどこかに私を導いているようにみえる。
だからずっとついて歩きたくなる。

最近、
南と北の国が平和への一歩を踏み出そうとしている。
私たちは
68年間続いてきた戦争が終わることを
自分の目で目撃できるかもしれない。

一刻でも早く、
若い兵士達が寂しい蛍を見る代わり、
家族や大事な人の側に戻って欲しい。

6月には
北房の蛍が北から良いニュースを持ってきてくれたらいいなと、
心から祈っている。

 

星を数える夜 ーユン・ドンジュ

’季節が過ぎて行く空は
秋で満ちています

私は何の心配もなく
秋の星たちをすべて数えることができそうです

胸の中に一つ、二つ、刻まれる星を
もう全部数えられないのは
ほどなく朝が訪れるからであり
明日の夜が残っているからであり
まだ私の青春が尽き果てていないからです’

星ひとつに思い出と
星ひとつに愛と
星ひとつに寂しさと
星ひとつに憧れと
星ひとつに詩と
星ひとつにオモニ(お母さん)、オモニ、

オモニ、私は星ひとつに美しい言葉を一つずつ言ってみます。小学校の頃、机を並べた子の名前と、ぺ、キョン、オク こうした異国の少女たちの名前と、既にお母さんになった女の子たちの名前と、貧しい隣人の名前と、はと、いぬ、うさぎ、ろば、のろ、フランシス・ジャム、ライナー・マリーヤ・リルケ、こうした詩人の名前を言ってみます

彼らはとても遠くにあります
星が遥か遠くにあるように

オモニ、
そしてあなたは遠く北間島にいます

私は何だか懐かしくて
星の光の降り注ぐこの丘の上に
私の名前を書いて、
土で覆ってしまいました
思うに、一晩中鳴いている虫は
恥ずかしい名前を悲むからです

しかし冬が過ぎ私の星にも春が来れば 
墓の上に緑の芝生が息吹くように 
私の名前が埋まった丘の上にも
誇らしげに草が生い茂るでことしょう

 

韓国出身カンさんが見た心躍る岡山の50のコト 第22話をお楽しみに

ライター:姜 侖秀(カン ユンス)
韓国ソウル出身。本業は俳優だと言いながらキムチ作りや多国籍シェアハウスを運営するなど他のことばかりしている。
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