蒜山自然再生協議会

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設立の想い

協議会設立の流れ

蒜山の豊かな自然環境とは



岡山県有数の観光地、蒜山高原。
草原、湿原、里山といった豊かな自然環境が至る所で見られ、訪れる人々を魅了してきました。

このような美しい自然環境は、人々の暮らし中で作り出されたものです。
そして、蒜山地域の文化や生業と結びついて、現代まで大切に残されてきました。

例えば、かつての蒜山地域では、地域で採れるススキなどの植物を、茅葺き屋根の材料として利用していました。
集落ごとに決まった茅場があり、集落の人々によって大切に管理されていたのです。

また、山焼きによって草原を管理し、草を刈って田畑の土壌改良剤や肥料、農耕用の牛馬の餌として利用してきました。

ほかにも、炭焼きや伝統工芸など、さまざまな場面で人々の暮らしと自然との結びつきが ありました。



さらに、蒜山地域の自然環境は、希少な動植物の棲家にもなっています。

例えば、体全体に光沢のある「フサヒゲルリカミキリ」は、全国でも蒜山地域が有数の生息地になっています。

また、絶滅が心配されている「サクラソウ」の、県内最大の自生地でもあります。
ほかにも、さまざまな動植物が生息しています。

このように、蒜山地域では、人々が暮らしの中で自然と関わることで、その美しい景観が今日まで受け継がれてきました。

豊かな自然環境の減少

しかし、生活様式の変化によって自然資源を使う必要がなくなるにつれ、蒜山の自然環境にも変化が生じました。

1940年代にはおよそ1200haあった山焼き草原は、2023年現在では、およそ100haまで減少してしまいました。

また、圃場整備や農業の高効率化が進むにつれ、アクセスしにくい谷津の水田は放棄され、湿原の乾燥化・樹林化が進んでいます。

さらに、地域の人口が減少することで、広大な面積を維持・管理することが難しくなりました。

このままでは、先人たちが大切に維持してきた自然環境は荒れ果て、蒜山の美しい景観は失われてしまいます。

観光地としての蒜山


一方で、蒜山地域には「観光地」としての側面もあります。

年間に訪れる人の数は、岡山県下第2位。
行楽シーズンを中心に多くの観光客が訪れ、グルメやアクティビティを楽しんでいます。

中でも多いのが「牧歌的な景観」を求める声。

広大な草原の中でサイクリングを楽しんだり、のびのびと暮らすジャージー牛を見て癒される人が多くいます。

現代の暮らしに合った自然資源の活用



豊かな自然環境を活かしながら、地域が元気になる方法はないのか?

このような課題に対して、先人の自然資源利用の知恵と技術を受け継ぎ、今の時代に合わせた形で自然の恵みを感じられる場や、自然資源を利用した生業を作り出すことで、蒜山地域の自然環境を再生させようとする動きが始まりました。

令和2年3月に策定された「蒜山地域振興計画」では、「SDGsツーリズム・蒜山 ー蒜山の自然と暮らしを活かした観光ー」が、コンセプトとして打ち出されました。

令和3年7月には、観光・文化の発信拠点施設「GREENable HIRUZEN」がオープン。
さまざまなイベントや展示を通して、誰もがサステナブルの価値を身近に体験できるようになりました。

このように、現代の生活様式に合わせた自然資源の活用を模索することで、自然や地域の暮らし、観光が両立する仕組みの構築が進んでいます。

そのような取り組みをさらに発展させるために、蒜山自然再生協議会を設立して、さらなる自然資源の維持・活用に力を入れることになりました。

蒜山自然再生協議会が目指す理想の姿

私たち蒜山自然再生協議会は、先人の知恵と技術を受け継ぎ、今の時代に合わせた形で自然の恵みを感じられる場や、自然資源を利用した生業を創り出すことで、人が関わることで維持されてきた自然環境の保全・再生・維持管理を目指します。

目標
先人から引き継がれてきた蒜山地域の自然資源利用の仕組みを現代に合わせて創り出し、
蒜山地域固有の自然、文化、景観を次世代に引き継ぐ。




◆体制◆
地域の自然環境に関わる多様な課題について、意識を共有して取り組むことができる体制づくりを目指します。



◆利用◆
地域の自然資源を産業や観光で活用できる仕組みづくりを行います。



◆取組◆
現在の自然環境や過去の自然利用の仕組みを学び、知見を収集するとともに、後世に残します。