蒜山自然再生協議会
【事前準備編】美しい草原は大迫力の炎によって創られる! 蒜山高原の山焼きボランティア体験レポート①
2024.05.02
岡山県の最北部、蒜山高原。
蒜山三座をはじめとする中国山地に抱かれたこの地には、広大な草原があります。
初めて蒜山の草原を目にしたとき、私は「岡山県にこんな場所があったのか!」と、その壮大な風景に圧倒され、感動したのを今でも覚えています。
後にこの素晴らしい風景は、蒜山の人々によって、大切に受け継がれていることを知りました。
しかし現在は草原の維持に関わる人も減っており、毎年ボランティアを募って、活動を続けているようです。
私も地域の環境を守る活動に興味はあったものの、「アウトドアの経験がなくても大丈夫?」と不安を抱えていました。
そんな折、蒜山自然再生協議会の千布さんから、「山焼きに参加してみませんか?」とお誘いを受けました。
「せっかくだから行ってみよう!」と、2024年4月、私は蒜山の草原再生活動の一環である「山焼き」に、思い切って参加してみました。
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◆ライタープロフィール:藤本一志
1994年生まれの30歳。岡山大学在学時に、環境学を専攻。
普段は真庭市交流定住センターで、真庭市への移住希望者のサポートを行っている。趣味は走ることで、フルマラソン2度、ハーフマラソンを3度完走した経験がある。しかし、登山やキャンプなどのアウトドア経験はなく、草原を駆け回る蒜山での草原再生活動に不安を抱えていた。
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<蒜山の山焼きとは>
蒜山地域では、昔から草原を維持するために、雪解け後の春に草原に火をつけて、枯れ草を焼くことが、800年ほど前から行われてきました。
これを「山焼き」と呼んでいます。
蒜山高原一帯は、大山の噴火による黒ボク土が大量に堆積し、田畑の土壌基盤となっています。
しかし、黒ボク土は酸性であるため、稲作には向いていません。
そのため蒜山の人々は、草原の草を刈って田畑の土壌改良や肥料、さらには農耕用の牛馬の餌として利用してきました。
そうやって人々が手を入れることで、美しい草原の風景が創られました。
そして、サクラソウやサクラスミレ、フサヒゲルリカミキリといった希少な動植物が生息する、豊かな草原の生態系が誕生したのです。
▲国内希少野生動植物種に指定されている「フサヒゲルリカミキリ」
しかし、近年は化学肥料や農業機械の普及、生活様式の変化により、わざわざ苦労して山焼きをして、草原を維持する理由がなくなってきました。
さらに少子高齢化によって、地元の人々だけでは山焼きをはじめとする草原の維持活動を行うことが困難になっていました。
そこで、蒜山の草原ならではの生態系と美しい風景を維持・再生するために、ボランティアとして地元の人以外にも活動に関わってもらえるよう方針を転換。
2022年には草原の再生や、草原に深く結びつく歴史や文化の継承を目的に、蒜山自然再生協議会も発足しました。
そして、協議会ができたことで行政と連携しやすくなり、ボランティア受け入れの体制がより強固になりました。
新しい仕組みが整いつつある今、蒜山の草原再生活動は、新しい局面を迎えています。
<2024年の山焼きボランティアの概要>
草原の再生活動は、春の山焼きに始まり、夏には草刈り、秋には茅刈りといった活動があります。
山焼きでは、ボランティアは「ジェットシューター」という水の入ったリュックサックを背負い、火が所定の範囲外に燃え広がらないよう、防火活動を行います。
私が参加した2024年の山焼きは、以下の日程で行われました。
・3/3:オンライン事前研修会
※参加できない人向けに録画配信あり
・4/6:第1回山焼き(最も広い面積を焼く。私も参加。)
・4/7:第2回山焼き(草原の北側の樹木伐採エリアを焼く。私は不参加。)
・4/13:第3回山焼き(サクラソウ自生地を焼く。私も参加。)
・4/14、4/20、4/21:予備日
<山焼き概要>
◆集合時間:8:00
◆終了時刻:13:00頃(進捗状況によって前後する)
◆集合場所:チェーン脱着場(岡山県真庭市蒜山上徳山964)
◆参加費:500円(防塵マスク等の消耗品費等)
◆希望者には500円で昼食(蒜山やきそば)が提供される
◆岡山駅(朝6時発)〜蒜山間の貸切バス(要事前予約、往復1,000円)の運行あり
山焼き本番に参加するには、必ず事前研修を受けなければなりません。
山焼きの意義や歴史、実施するうえでの注意事項など、2時間みっちりレクチャーを受けます。
<3/3|事前研修会に参加!>
Webフォームで申し込みを済ませ、3/3にオンライン事前研修会に参加しました。
研修会はZOOMを使って行われました。
レクチャーを受けた内容は以下のとおりです。
・蒜山の草原の概要・歴史・これまでの活動
・山焼きの心得
・服装・準備物などの説明
・当日の流れとボランティアの配置説明
・募集要項の募集要項の確認
・質疑応答
蒜山自然再生協議会の方々が、山焼きについて丁寧に説明してくださいました。
初めて参加する私でも、山焼きの意義や注意事項など、しっかりと理解できました。
服装や準備物についても、スタッフの方が山焼き本番の格好をして説明してくださったので、「こんな格好をすればいいんだ!」と、すぐに理解できました。
そして最も印象的だったのが、「安全第一で行動しましょう」という言葉。
山焼きは火を使うので、当然ながら危険を伴います。
そのため、まずは自分の身の安全を確保することが重要です。
とはいえ、私は今回が初参加。
さらに心配性という性格。
「火の勢いはどれくらいなのかな」「山で活動した経験がないけど大丈夫かな」など、心配なことがありました。
「ボランティアだからあまり気負うことはない!」と自分に言い聞かせ、本番までの間、準備や情報収集をすることにしました。
<必要な物の準備>
研修後、さっそく準備物を揃えに、津山市内のとある作業着屋さんを訪れました。
ここで以下のものを買い揃えました。
・綿100%の難燃性作業着の上下
・長靴に装着するスパイク
・豚皮の手袋
・ウエストポーチ
初めて「スパイク」という物を購入。
「登山の道具じゃん。どんな斜面を歩くんだ・・・」と、ここでも若干不安に。
また、研修会で「山焼きは昼過ぎまでかかるので、糖分補給できるものを用意してください」と説明を受けたので、水分に加え、飴とゼリーも購入。
耳と首を熱から守るタオルは、家にあったスポーツタオルを使うことにしました。
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「【山焼き本番編】美しい草原は大迫力の炎によって創られる! 蒜山高原の山焼きボランティア体験レポート②」に続く
蒜山三座をはじめとする中国山地に抱かれたこの地には、広大な草原があります。
初めて蒜山の草原を目にしたとき、私は「岡山県にこんな場所があったのか!」と、その壮大な風景に圧倒され、感動したのを今でも覚えています。
後にこの素晴らしい風景は、蒜山の人々によって、大切に受け継がれていることを知りました。
しかし現在は草原の維持に関わる人も減っており、毎年ボランティアを募って、活動を続けているようです。
私も地域の環境を守る活動に興味はあったものの、「アウトドアの経験がなくても大丈夫?」と不安を抱えていました。
そんな折、蒜山自然再生協議会の千布さんから、「山焼きに参加してみませんか?」とお誘いを受けました。
「せっかくだから行ってみよう!」と、2024年4月、私は蒜山の草原再生活動の一環である「山焼き」に、思い切って参加してみました。
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◆ライタープロフィール:藤本一志
1994年生まれの30歳。岡山大学在学時に、環境学を専攻。
普段は真庭市交流定住センターで、真庭市への移住希望者のサポートを行っている。趣味は走ることで、フルマラソン2度、ハーフマラソンを3度完走した経験がある。しかし、登山やキャンプなどのアウトドア経験はなく、草原を駆け回る蒜山での草原再生活動に不安を抱えていた。
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<蒜山の山焼きとは>
蒜山地域では、昔から草原を維持するために、雪解け後の春に草原に火をつけて、枯れ草を焼くことが、800年ほど前から行われてきました。
これを「山焼き」と呼んでいます。
蒜山高原一帯は、大山の噴火による黒ボク土が大量に堆積し、田畑の土壌基盤となっています。
しかし、黒ボク土は酸性であるため、稲作には向いていません。
そのため蒜山の人々は、草原の草を刈って田畑の土壌改良や肥料、さらには農耕用の牛馬の餌として利用してきました。
そうやって人々が手を入れることで、美しい草原の風景が創られました。
そして、サクラソウやサクラスミレ、フサヒゲルリカミキリといった希少な動植物が生息する、豊かな草原の生態系が誕生したのです。
▲国内希少野生動植物種に指定されている「フサヒゲルリカミキリ」
しかし、近年は化学肥料や農業機械の普及、生活様式の変化により、わざわざ苦労して山焼きをして、草原を維持する理由がなくなってきました。
さらに少子高齢化によって、地元の人々だけでは山焼きをはじめとする草原の維持活動を行うことが困難になっていました。
そこで、蒜山の草原ならではの生態系と美しい風景を維持・再生するために、ボランティアとして地元の人以外にも活動に関わってもらえるよう方針を転換。
2022年には草原の再生や、草原に深く結びつく歴史や文化の継承を目的に、蒜山自然再生協議会も発足しました。
そして、協議会ができたことで行政と連携しやすくなり、ボランティア受け入れの体制がより強固になりました。
新しい仕組みが整いつつある今、蒜山の草原再生活動は、新しい局面を迎えています。
<2024年の山焼きボランティアの概要>
草原の再生活動は、春の山焼きに始まり、夏には草刈り、秋には茅刈りといった活動があります。
山焼きでは、ボランティアは「ジェットシューター」という水の入ったリュックサックを背負い、火が所定の範囲外に燃え広がらないよう、防火活動を行います。
私が参加した2024年の山焼きは、以下の日程で行われました。
・3/3:オンライン事前研修会
※参加できない人向けに録画配信あり
・4/6:第1回山焼き(最も広い面積を焼く。私も参加。)
・4/7:第2回山焼き(草原の北側の樹木伐採エリアを焼く。私は不参加。)
・4/13:第3回山焼き(サクラソウ自生地を焼く。私も参加。)
・4/14、4/20、4/21:予備日
<山焼き概要>
◆集合時間:8:00
◆終了時刻:13:00頃(進捗状況によって前後する)
◆集合場所:チェーン脱着場(岡山県真庭市蒜山上徳山964)
◆参加費:500円(防塵マスク等の消耗品費等)
◆希望者には500円で昼食(蒜山やきそば)が提供される
◆岡山駅(朝6時発)〜蒜山間の貸切バス(要事前予約、往復1,000円)の運行あり
山焼き本番に参加するには、必ず事前研修を受けなければなりません。
山焼きの意義や歴史、実施するうえでの注意事項など、2時間みっちりレクチャーを受けます。
<3/3|事前研修会に参加!>
Webフォームで申し込みを済ませ、3/3にオンライン事前研修会に参加しました。
研修会はZOOMを使って行われました。
レクチャーを受けた内容は以下のとおりです。
・蒜山の草原の概要・歴史・これまでの活動
・山焼きの心得
・服装・準備物などの説明
・当日の流れとボランティアの配置説明
・募集要項の募集要項の確認
・質疑応答
蒜山自然再生協議会の方々が、山焼きについて丁寧に説明してくださいました。
初めて参加する私でも、山焼きの意義や注意事項など、しっかりと理解できました。
服装や準備物についても、スタッフの方が山焼き本番の格好をして説明してくださったので、「こんな格好をすればいいんだ!」と、すぐに理解できました。
そして最も印象的だったのが、「安全第一で行動しましょう」という言葉。
山焼きは火を使うので、当然ながら危険を伴います。
そのため、まずは自分の身の安全を確保することが重要です。
とはいえ、私は今回が初参加。
さらに心配性という性格。
「火の勢いはどれくらいなのかな」「山で活動した経験がないけど大丈夫かな」など、心配なことがありました。
「ボランティアだからあまり気負うことはない!」と自分に言い聞かせ、本番までの間、準備や情報収集をすることにしました。
<必要な物の準備>
研修後、さっそく準備物を揃えに、津山市内のとある作業着屋さんを訪れました。
ここで以下のものを買い揃えました。
・綿100%の難燃性作業着の上下
・長靴に装着するスパイク
・豚皮の手袋
・ウエストポーチ
初めて「スパイク」という物を購入。
「登山の道具じゃん。どんな斜面を歩くんだ・・・」と、ここでも若干不安に。
また、研修会で「山焼きは昼過ぎまでかかるので、糖分補給できるものを用意してください」と説明を受けたので、水分に加え、飴とゼリーも購入。
耳と首を熱から守るタオルは、家にあったスポーツタオルを使うことにしました。
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「【山焼き本番編】美しい草原は大迫力の炎によって創られる! 蒜山高原の山焼きボランティア体験レポート②」に続く