佐波良・形部神社(県社)
式内八社のうちの2社。県内でもっとも高位な神社のひとつ
佐波良・形部神社(県社) ―さわら・かたべじんじゃ(けんしゃ)―
背後に霰ヶ山(あられがせん)、正面に櫃ヶ山(ひつがせん)と、霊場的な山を結ぶラインに位置している佐波良神社・形部神社は、社地域にある「式内社」のうちの2社が、ひとつの社殿に祀られたものです。祭神はそれぞれ、「佐波良命(さわらのみこと)」、「神阿多津姫命(かむあたつひめのみこと)」といわれています。
この神社は、江戸時代までは「大社(おおやしろ)」、現在では通称「県社」と呼ばれています。明治時代になって、県内の神社がそれぞれランク付けされた際に、この神社が、高位である「県社」に指定されたことによる呼称です。
現在、社地域の式内八社の中では最も大きな意味を持つ神社であり、これは、お祭りの際に二宮、横見神社から出発した神輿は一度県社に来て、県社の神様をお迎えして各地を練り歩くことからもわかります。
本殿の裏側には、石積の祭祀遺構(さいしいこう)が残っています。年代は不明ですが、周辺には奈良時代の土器も出土しており、古くから信仰の場であったことがわかります。
なお、神社前の田は、「大社ノマエ」と呼ばれており、参道・鳥居の両脇の田は、かつては牛を使わず鍬(くわ)だけで耕し、牛糞ではなく枯葉や草を肥料としていました。このように、神域では、清浄さを保つことが徹底されていました。
また、境内にはモミと杉の木が根元で結合している「縁結び之木」、樹齢千年とも言われる県下屈指の巨樹「佐波良の大杉」があります。
県社では、御田植祭とも呼ばれる春祭(4月5日)、例祭である秋祭(10月9日)、新嘗祭を兼ねた霜月祭(11月30日)の3回の祭りが行われています。
◆音声はコチラから。