社の米作り(塩水選~陰干し)
2018.06.14
<本コーナーの趣旨>
中世の歴史と豊かな自然に囲まれた真庭市湯原の社(やしろ)地域。本記事はここ社の土地で続けられてきたお米づくりの1年間をお伝えするものです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
#1塩水選~陰干し
さっそくお米作りに協力して頂いている方の元へ。
そもそも、「塩水選(えんすいせん)」というのは、種子を選別するために行われる工程です。塩水にモミを入れ、沈んだモミ(=中身がギッシリ詰まったモミ)を田植えに使います。
塩水選は、大きく以下の工程で進みます。
①塩水選
②沈んだモミを水洗い
③湯温消毒
④冷ます
スタートから終わりまで、時間は約40分以内に実施する必要があるとのことで、段取りをしっかりやって、スムーズな作業が必須です。
-
まずは、塩水とお湯の準備を始めます。 お水に入れるのは、塩ではなく、硫安というものを使用。丸い粒のようなものですね。そして写真が今回使用するモミです。
-
塩水の濃度の判定には生卵を使用するのが狩谷流。浮き加減はこんな感じ。ちょっと理科の実験を思い出しました。
-
お湯の準備も概ね整ったところでスタート!まずは塩水にモミを全て入れます。入れたらすぐにかき混ぜます。
-
すると、すぐに沈むモミと浮き上がるモミに分かれます。浮き上がったモミは、ざるで速やかに回収し、選別します。
-
選別が終わったら、すぐに水ですすぎます。ここで洗濯ネットみたいな袋が登場。ここにモミを入れて、湯温消毒へ。この袋に入れているおかげでモミが飛び散りません。便利♪
-
袋のまま、お湯の入ったバケツへ入れ、湯温消毒に移ります。この湯温消毒は、「イネばか苗病」「いもち病」「苗立ち枯れ細菌病」など、細菌性の病気を防除するために実施するものです。 この湯温消毒の利点は、農薬を使用せずにモミを消毒できるところ。ここから温度計とにらめっこが始まります。8分間程度ですが、60℃をキープするため、温度が下がればすぐにお湯を足します。
-
消毒が終わったら、最後に冷水に浸し、陰干しします。その後約10日間ほどそのままの状態で、モミに水分を吸わせます。 これらの工程を経て、酸素・温度・水と休眠打破の条件が揃います。これまで眠っていたモミが目を覚まし、発芽に向けて準備を始めていきます。 今回はここまでです。
-
この工程が終わった後、休憩しながらお話しを伺う中で「苗半作(なえはんさく)」という言葉を教えていただきました。「苗作りで稲作の半分が終わる」と言われるほど苗作りの工程が重要であることを意味しています。 だからこそ、これだけの準備と手間が必要ということですね。米作り八十八手と言われる理由を改めて感じました。 次回の記事は、「荒がき」について掲載します!!